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2010年06月 アーカイブ

目黒をぶらりと散歩 2

一九三五年、美術界のクーデターといわれる「松田改組」事件が起こった。
これは時の文相、松田源治が無鑑査を減らすなど、帝展のあり方にメスを入れたもので、画壇は賛否入り乱れての大騒動となった。

この時、目黒雅叙園では帝展無鑑査グループがしばしば会合をもち、細川社長も彼らを側面から援助した。

この時の縁で鏑木清方、松林桂月ら多くの画家が細川社長の依頼によって、新築中の目黒雅叙園の客間装飾に従事することになり技を競った。

彼らは画室を与えられ三カ月から一年かけて軸物、屏風絵、天井画、欄間絵、額絵の制作にあたり、これが今日の目黒雅叙園コレクションの中心となったのである。

「当時うちによばれて描くことは、画家どして最大の名誉だと言われていたようですよ」と社長はいう。

目黒をぶらりと散歩 3

第二次大戦で焼失したと思われ、「幻の日本画」といわれていた昭和初期までの貴重な日本画がここにはまとまってある。

戦時中は海軍病院になっていたため戦禍を免れたのであった。

鏑木清方をはじめ、下村観山、池上秀畝、伊東深水、木村武山、宇田荻邨等々、大画面に描かれたこれらの画家たちの作品は、細川社長の嗜好を反映してか、どれも拝情的である。

帰りには、再現された旧目黒雅叙園の中を歩いてみる。
黒漆に蝶貝をはめこんだ螺鈿のエレベーターをおり、長廊下の壁面を飾る彩色レリーフの美人画を眺め、贅をこらした和風宴会場をのぞいてみるのも楽しい。

とにかく手の届きそうなところに、さりげなく芸術作品が置かれている、ここ目黒雅叙園はまさしく平成の竜宮城であった。

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